ガイダンス室から
−ガイダンス室は君たちのもの−
新入生諸君、入学おめでとうございます。
 大阪大学のガイダンス室から皆さんへの期待と、皆さんが持つであろう不安と不満に対応するシステムについての案内をいたします。
 皆さんは厳しい競争のなかで、大阪大学を選び、入学を許可されました。そして希望と意欲を持って大学での講義やクラブ活動を体験し、そして新しい友人を得る努力をされることと思います。しかし一般に、新入生諸君の意欲と努力は半年程度しか続かないとよく言われています。その理由のひとつは、あまりに厳しい入学試験への努力が皆さんを消耗させているというものです。これも事実でしょうが、それだけではないと私には思えます。
 大学は社会の縮図だという意識を皆さんはお持ちでしょうか。大学はこの社会の中にあります。大学だけが隔離され、象牙の塔として高くそびえ立っているものでは決してないのです。大学で働く先生と呼ばれる人たちを含めて全ての職員も基本的には皆さんと同じようにこの社会の一員なのです。したがって、皆さんがふだん感じられると同じような問題がこの大阪大学の中にも存在するのは当たり前のことなのです。多くの新入生諸君が、比較的早期に大学への期待が裏切られたと感じてしまう土壌がそこにあります。
 しかしながら、私は大学はそれではいけないと考えています。それを乗り越えてこそ大学は大学らしくなり、真理探究の場として、また学生諸君の教育の場となりうると考えています。その責任の一端を担うのは学生諸君です。学生諸君には、その過大な期待を見直し、新鮮な感覚とたくましいエネルギーで大学の新しい姿への脱皮に協力していただきたいのです。それは、ひとつには授業への積極的な参加意識です。その中ではじめて自分自身の教育が可能になるとともに、より豊富な内容をもった教官を生み出すことになるでしょう。教育とは関係概念であって、どちらか一方だけではまともに機能しないことを肝に銘ずることです。また、それ以外での大学生活に積極的に参加する中から、大学の全体像を掴むことが出来ます。それがより大学らしい雰囲気のある大阪大学を作り上げることに繋がるのです。
 私が皆さんに申し上げたいのは、大学に過大な期待をすることからだけでは何も得られないということです。新入生諸君の積極的な姿勢を期待したいと思います。皆さんからのさまざまな情報が、平成6年からスタートした新しい教育体制の改善におおいに寄与してきたことは事実です。
 さて、入学してきた学生諸君は、希望した学部・学科に入れたかどうかはともかく、大学生として必要な教科・科目や第一・第二外国語、健康・スポーツ科目さらには将来の専門の基礎となる専門基礎教育科目をとることが要求されています。これらの科目には幅広い選択制を取り入れているものもある一方で、カリキュラム編成上それほどの選択を許容されてないものも数多くあるのが実状です。特に主題別教育科目には学生諸君の将来の専攻以外の、副専攻としての幅広い分野のテーマの選択が認められていますが、開講される教室のサイズや開講数に応じて調整が必要となるのが実状です。そのような諸般の事情から学生諸君に不満と混乱が発生することとなります。そのような事情の上、昨年度から新しい学務情報の電算化がスタートしました。これは学務情報処理の高速化、省力化を目指したものではありますが、実施されてから間がないということもあり学生諸君への指導が十分ではなく、新入生のみならず在学生にも多少の戸惑いと混乱をもたらすこととなりました。
 以上のようなさまざまな事態に対応するのが、全学共通教育機構の建物群の中心に位置し、新しくてきれいなA棟4階の教務掛の隣りにある「ガイダンス室」の仕事です。しかしガイダンス室の仕事はこれだけにとどまりません。講義が開講され、それを受講してみるとそれは自分の希望とは全く異なるものだったといった場合や、あるいは予想以上に専門的でそれには到底ついていけないなどの事態も発生します。これは、シラバスが講義の内容を正確には反映できていないからと思われます。
 さらに、学生諸君が大阪大学でさまざまな経験をして行く過程で、自分の進路に対する疑問が生まれ、転学部・転学科、はては休学・退学等を考えざるを得ない事態も予想されます。そのような際にもガイダンス室はできる限り相談に乗り、また必要な情報を提供するつもりです。
 ガイダンス室は講義の開催されている日には必ず開かれて相談員が待機するとともに、各部局からもガイダンス担当教官がお昼の2時30分から4時30分までという短時間ではあるが学生諸君の相談に応じています。どの部局からのガイダンス担当教官がいつ相談にのることになっているかの情報を電子掲示板などでお知らせしますので参考にしてください。そして気楽にガイダンス室に立ち寄り、大学に対する不満も含めてさまざまな情報を提供して下さることを期待しています。
 なお、ガイダンス室がより機能的になるように、ガイダンスを担当する教官名、担当日また先生方の居室などの多くの情報を全学共通教育機構のホームページに随時掲載することを現在検討中です。それが出来るようになった時には、さまざまな情報はホームページから簡単に得られ、また電子メールでも相談や予約が出来るようになると考えています。もうしばらくお待ち下さい(平成11年2月22日)。(文責:ガイダンス室長 中西康夫)
連絡先:
E-mail: yasuon@bio.sci.osaka-u.ac.jp


(この文章は、大阪大学全学共通教育機構のホームページに掲載したものと同じである。1998年5月。)
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