イラク人質事件ー飛行機代を出せだと?
 この一文は、すでに「日記」に書きなぐったことをもっと目に付きやすいように書き改めるだけのことで、特に新味があるわけではない。ただ、今日のYahooにフランスの著名な新聞”ル・モンド”が当然のように日本国内の論調を批判しているので、それを追加しておきたいだけである。

 私は4月18日、「日記」に次のように書いた。注: 文字用の領域がありません!
 2004年4月8日、イラクファルージャ近郊で誘拐されたとみられていた3人の日本人が15日無事解放された。解放された直後から政府・与党の関係者から、飛行機代や健康診断代金を請求すべきだとの声が挙がった。全く腹立たしいが、早速民主党の枝野政調会長が次のように発言し、それがインターネット上に掲載されたので、それで私の気持ちを代表させたい。
邦人人質の救出費負担要求を批判=枝野民主政調会長
民主党の枝野幸男政調会長は17日午後、札幌市内で記者会見し、イラクの邦人人質事件で解放された3人に救出費用の負担を求める声が政府・与党内で出ていることについて、「邦人保護の責任を転嫁し、放棄するものだ。3人は違法行為をしたわけではないし、そもそもイラクが安全だといい続けてきたのは政府だ」と批判した。 (時事通信)

 でも、一言いいたい。イラクを危険な地域にしたこの戦争のどこに正義Justiceがあるのだ!私は政府が自衛隊をイラクに派遣するために税金を支払った覚えはなく、また自己責任を議論するのであれば、太平洋戦争をおっぱじめ、A級戦犯として靖国神社に祀られている人や、そこに毎年参拝し、近隣各国との摩擦を生み出し、ひいては多分それによって北朝鮮に拉致された日本人家族の帰国を遅らせ、我が国に巨額の経済的損失をもたらしている小泉首相や、失われた10年といわれる長期不況に追い込んだ政府・与党にその自己責任をお金で要求したいものだ。一体幾らと計算すればよいのだろうか?彼ら3人は、国を越え、地域を越え、命をも賭け、結果として新しい日本の姿を世界にアピールしたきた新しい人たちなんだよ。巨額の利益を求めてうごめきあっているどこかの国の企業人間とは違うんだよ。バカバカしい!

 本日4月21日、Yahooにこんな記事が転載された。
自己責任論を批判 「若者誇るべき」と仏紙
 【パリ20日共同】20日付フランス紙ルモンドは、イラク日本人人質事件で、日本政府などの間で「自己責任論」が台頭していることを紹介、「日本人は人道主義に駆り立てられた若者を誇るべきなのに、政府や保守系メディアは解放された人質の無責任さをこき下ろすことにきゅうきゅうとしている」と批判した。
 東京発の「日本では人質が解放費用の支払い義務」と題した記事は、解放された人質が「イラクで仕事を続けたい」と発言したことをきっかけに、「日本政府と保守系メディアの間に無理解と怒号が沸き起こった」と指摘。「この慎みのなさは制裁まで伴っている」とし、「人質の家族に謝罪を要求」した上に、健康診断や帰国費用の負担を求めたと批判した。
 記事は、「(人質の)若者の純真さと無謀さが(結果として)、死刑制度や難民認定などで国際的に決してよくない日本のイメージを高めた」と評価。パウエル米国務長官が人質に対して、「危険を冒す人がいなければ社会は進歩しない」と慰めの言葉を贈ったことを紹介した。(共同通信)
[4月21日1時51分更新]

 上の記事の内容は、私が思っていることと同じである。ただ、自己責任論を言い出しているのは「日本政府と保守系メディア」とあるが、日本にリベラルなメディアが本当にあるのかどうかは疑わしい。どのメディアが積極的に彼ら3人の行動に新しい日本人の姿を見いだしているのだろうか。私には聞こえてこない。

 また、リベラルであるとされるアメリカのパウエル国務長官であるが、元々イラク戦争を始めた彼らにこんなことを言われるようでは、本当に情けないと思う。

 もう多くは言うまい。言えば言うほど中身が散漫になっていくだけだ!

                             (2004年4月21日)
(参照 「遠ざかりゆく星条旗」)