体質改善(3):長い将来にわたって走り続けるための
いくつかの試みと新しいレース戦略
はじめに
 私は、前回公開した「体質改善(2):「大阪・淀川市民マラソンでの初リタイアから学ぶこと」の最後に次のように書いた。

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 新しい試みは、要するに、人と話のできるような心拍数でのランニングに徹することである。それによって脂肪の燃焼を促進し、かつ有酸素運動機能の向上をねらうのである。そして当分の間スピード練習は、レースの前3週間に限定する。この試みはすでに2004年11月13日から始まっている。タイムに全くこだわらず、心拍数はおよそ120くらいで90分くらい走ることにしている。ただ、当初は我慢我慢であったが、慣れてくれば90分という時間はそれほど苦痛ではなく、また速度が遅いために顕著な疲労感を感じることも少ない。少なくとも今月中はこれで行く、いわゆる"LSD"である。

 このことが、高い「総コレステロール値」にどのような影響を与えるかは興味深いところで、まさに実験である。この試みによってもその値に変化が見られない場合には、安全のためにその値を下げる薬を飲むのが正解だと思われるが、しばらく結果を待ちたいと思う。もちろん、血糖値の高さも気になるところであり、この値についても観察を続けたいと思う。できることなら、この試みによって成人病予防を徹底したいものである。なお、これら2つの血液のデータに関して、食事の影響も考えられるが、この十年来食事の内容は油ものが多い食事から魚中心に変えてきており、それでも大きな変動がないことから体質的な要素も大きいとは感じている。ただし、入院時には総コレステロール値が下がっていることから、食事の質と量が関係している可能性は否定できない。
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 さて、このように考えるに至った経緯をたどって今回の文章を読んでいただいた方が理解しやすいと思われるので、前回の見出しをそのまま使いながらその後のデータを付け加えたい。
「私の不安材料(1)−体脂肪量の増加」の結果はいかに?
 下のグラフを見ていただきたい。これが最近2ヶ月の結果を付け加えた過去2年間の体重、体脂肪量の変動である。この数値は、私が通っているフィットネスクラブ(高槻市、明治スポーツプラザ)で測定したもので、測定する条件はバラバラであり、また体脂肪率を測定する機器も両手で計る簡易型である。したがって、その値ひとつひとつはそれほど正確とは言い難いが、多くのデータを集めれば全体としての傾向を観察するにはそれほど問題はないと考えている。ただし、最近気づいたことであるが、立って測定したときに比べて座って測定したときには数値が1%前後高く出ることがあり、その意味でも不確定要素の多いデータであることには注意が必要である。
 
 下のグラフの右1/5を見ていただきたい。それによれば、昨年11月中旬からのかなり徹底したLSDにもかかわらず、体脂肪量の減少はあるものの、驚くほどゆっくりである。この3ヶ月でLSDとしておよそ700キロ以上は走ったのである。それにもかかわらずこのデータである。私という個人にとっての体脂肪量の減少は、私という人間の特殊事情であるかも知れないが、とても厳しい目標であり、今回は出してはいないが体脂肪率の低下はさらに厳しい。つまり、蓄積した体脂肪を減らすには、生やさしいことではない、予想を超える徹底した何かが必要なのである。ただし、体重は予定通り減少しているが、一体なにが減っての体重減少かは気になるところではある。注: 文字用の領域がありません!
「私の不安材料(2)−心拍数の微妙な増加」ははたしてどうなったか?
 下のグラフを見ていただきたい。忘れもしない2001年11月13日の禁煙で急降下した通常時心拍数は、今回のグラフには含まれていない。その後平均して55の低水準で持続していた心拍数が、昨年の春(2004年)以来なぜか5%程度の増加がほぼ継続してきたことは前回の報告で述べた。

 LSDは11月中旬からスタートしたが、その効果は今年2005年の1月中旬から効果を現し始め、ここ1か月ほど急速に心拍数が下がり続けている。赤い矢印のつけてある2点ではいずれも60を越えているが、これはその2時間ほど前に約90分14キロのLSDをロードで行ったあと筋トレのためジムを訪れ、心拍数などを測定したときのデータである。したがって、それを考慮に入れれば、それまでの60近い値から以前の55前後に下がり始め、さらにそれ以下の52とか53、時には49という数値まで下がり始めており、LSDの効果がはっきりと出始めていることが伺える。また、ランニング後クールダウンするが、その時の心拍数の低下速度も実感できるほど速くなっている。注: 文字用の領域がありません!
 下のグラフの右端の部分をご覧いただければ分かるように、2004年11月中旬のLSD開始1ヶ月経過後から2度の血液検査を行っているが、総コレステロール値は同じ数値の272(mg/dl)を示し、全く下がる気配をみせない。相変わらずの高値安定であり、また悪玉と言われるLDL-ch値( 167 mg/dl)もまたかなり高い。したがって医師との協議によって、自覚できる症状は出ていないが潜在的な高脂質血症状態の改善をLSDによって行うことはほぼ不可能と判断し、その改善を別の方法で行うことが急務であるとの結論となった。早速2005年2月5日からコレステロール値を低下させる薬を飲むこととなった。幸か不幸か、この問題に明確な結論を出すことができた。

 血糖値についても同様に高く、制限値ぎりぎりの値であることに変わりはない。ただ、この値は無茶に高くはないので、とりあえず今後注視してゆきたい。
結論と新しいレース戦略
 体脂肪を削ることは本当に難しい、これは私の偽らざる実感である。しかし、かなり徹底した LSDによってごく僅かずつではあるが体脂肪量が減っていることも事実であり、これを継続するしかない。そして、投薬によって高脂質血症状態を押さえ、循環器系への過度の負荷を押さえ、これまでに蓄積してきたであろう危険因子の解消を期待するしかないのであろう。高齢と言われる年齢になった私としては、やむを得ない危険因子への対策である。

 一方、さらなるLSDの継続によって呼吸器系・循環器系の効率を高め、可能な限り心拍数の低下に努め、心臓などへの負荷を少なくする努力も要求されるであろう。この負荷の減少に貢献するであろう腹式呼吸に慣れることをも、部分的ではあるがランニング中に実践している。このようないろいろな経験を積んでいる過程の先月1月23日、「高槻シティ国際ハーフマラソン」に出場した。これにはアテネオリンピックの金メダリスト野口みずきさんも参加され、大盛況であった。ほとんどLSDしかやっていない私であったがかなりの調子の良さを感じ、5−10キロを23分4 0秒という私としては速いペースで走ってしまった結果中間点あたりで失速し、後半何度も歩くという最悪のレースをすることとなった。走る前には、「完走が目標」という設定であったにもかかわらずである。しかし、我慢を言い聞かせてリタイアだけは避け、ここ何年振りかの2時間越えの2時間1分というタイムではあったがなんとか完走することはできた。前回のリタイアから考えれば復帰への一歩前進であった。

 この高槻のレースでも出てしまったことであるが、わたしのこれまでの走り方は、前半をかなりのハイペースで走り、後半を我慢・忍耐で走り切るというものであった。その結果、この歳にしてはまあまあの、ハーフマラソン1時間41分13秒、フルマラソンで3時間55分25秒という記録を昨年相次いで出すことができた。そして、その延長線上にハーフマラソンで1時間40分、フルマラソンで3時間50分を切る目標を設定していたのである。しかし今後はどうもこれまでの走りでは駄目なようで、これからは前半を遅いペースで走り、十分に身体の調子を判断した上で、後半にレース全体のことを考えるという方向に転換した方が良さそうである。というわけで、あくまで楽しく汗をかいて完走を目標におくランニングを志したい。ただ、これではすぐ3月13日にやってくる、時間制限のきわめて厳しい京都シティハーフマラソンの前半に設けられた3つの関門に引っかかる可能性がでてくるが、LSDによる体質改善途上のいまはそれもやむを得ないと覚悟している。

(2005年2月13日)